猛暑の大規模災害に備えて!在宅避難のための電源対策

猛暑の大規模災害に備えて!長期停電しても在宅避難できるようにするための電源対策

 この記事は、2024年8月の猛暑の中エアコンの効いた部屋で書いています。連日最高気温35℃を超える日が続いています。

 書いてるときにふと思ったのは、今もし首都直下地震が起きて長期停電するようなことになったら昨今の異常な暑さに耐えられるのかということです。

 我が家には、家族と愛犬がいます。犬と避難所への同行避難はするつもりですが、自宅が大丈夫であれば在宅避難を考えています。何故なら、自治体もペットとの同行避難について対策を考えてくれているようですが、キャパが限られているようですし、動物アレルギーの方もいらっしゃいますし、ペット自身も慣れない環境で過ごすのは大きなストレスになると思うからです。

 この記事では、猛暑の夏場に大震災が起こって長期停電になったときどのような暑さ対策ができるのか、扇風機やエアコンを動かすことはできるのか、そのための電源をどうすればよいかなど筆者なりに考えていることをご紹介したいと思います。我が家と同じように在宅避難を考えている方の参考になれば幸いです。

Ⅰ.在宅避難で長期停電に備える必要性が高まっている背景

在宅避難で長期停電に備える必要性が高まっている背景

1.最近の自然災害の大型化と巨大地震

 最近の台風、地球温暖化の影響だと思いますが大型化してます。また台風でもないのに台風なみの低気圧となり暴風雨となることも多いようです。さらに竜巻の被害ニュースも頻繁に聞くようになりました。

 地震でいうと首都直下地震や南海トラフ地震は「起こるか起こらないかではなく、いつ起こるか」ということであり、これらの巨大地震は必ず起こると言われています。 このような災害が起こると必ず停電します。災害規模が大きければ大きい程停電被害も広範囲にわたり、それに伴い停電復旧に日数がかかってしまうことは容易に想像できると思います。

 東日本大震災では電気が約90%復旧するまでに約6日かかっています。内閣府によると、首都直下地震の場合電気の復旧目標をこの6日に設定しているようです。6日はあくまでも目標であり7日目以降に必ず電気が復旧するとは思わない方がよいでしょう。

 また内閣府によると南海トラフ地震では電気の復旧(95%)には約2週間を要すると想定しています。地域によっては数か月かかるともいわれています。

 この2週間、近年の酷暑の夏場に電気が止まったとしたら。。。皆さんはエアコンが使えない生活、覚悟できてますか?

2.避難所の現状

(1)キャパシティ

避難所の現状、定員オーバー

 東京都を例にすると、平成20年の中央防災会議の資料にありますが約60万人分不足しているそうです。避難したところで十分な行政サービスは期待できないでしょう。避難所に入れず車中で夜を過ごしたという被災者の報道もよく目にします。

 震災直後、火災を恐れて一時的に避難所に避難することは重要です。 その後火災の危険がなくなり、自宅に被害がなければ在宅避難に切り替えた方がよいかと思われます。避難所にいた方が自治体からの支援物資や情報を得やすいといったメリットはある反面、在宅避難の方がプライバシーの確保やストレスの軽減の面では適しているのではないでしょうか。

 ご参考までに、大阪市が公表している地震が発生した場合の避難の流れや在宅避難を判断する際のフローチャートをご紹介します。お住まいの自治体でもホームページ等で確認してみて下さい。

(URL:https://www.city.osaka.lg.jp/tennoji/cmsfiles/contents/0000267/267790/handbook06.pdf)

(2)暑さ対策

猛暑での避難所生活イメージ

 以前報道で「真夏の避難所の暑さ対策は自治体にも限界・・・」というタイトルで紹介されたことがあります。静岡県藤枝市の災害指定避難所である中学校の体育館では、窓を開けていても35℃を超え危険な暑さとなっていました。そこで自治体が用意したのはスポットクーラー4台です。どれだけ涼をとれるかが課題とのことでした。

 2007年の新潟県中越沖地震は真夏に発生しました。夜暑いから窓を開けようとする人と、虫が入ってくるから閉めて欲しい人とでトラブルもあったそうです。エアコンが整備されたのは災害が発生してから3週間後だったそうです。

 過去の災害事例を反省し改善しているかとは思いますが、冷房完備で快適な避難所生活ができるなんて考えない方がよいでしょう。

(3)個別事情

避難所でのトイレ事情イメージ

 家族に高齢者や障がい者の方がいる場合、避難所での生活よりも在宅避難の方が好まれるようです。脚が不自由だと避難所のトイレまで行くのも大変です。そういったご家族のために在宅避難できるようにしておくことは大事ですね。

 我が家にはペットがいます。横浜市のある指定避難所(中学校)で事前にどのくらいのペットが避難するのかアンケート調査したところ800世帯が同行避難を希望しているそうです。各指定避難所では同行避難してきたペットのクレートを専用エリアに並べるそうです。体育館や教室で飼い主と一緒に避難生活をするようなことはなさそうです。

同行避難してきたペット達

(URL:https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/sumai-kurashi/pet-dobutsu/aigo/saigai-taisaku/disaster.html)

 筆者は、犬も飼い主もストレスがたまってしまうと思い在宅避難を決意しています。

Ⅱ.夏場、在宅避難のための電源対策

夏場、在宅避難のための電源対策

 前節で停電復旧に時間がかかること、避難所で過ごしにくいことを述べました。ここでは在宅避難する上で大変重要な電源対策についてご紹介したいと思います。

 もちろん水や食料、医薬品等も重要ですが、ここでは夏場に災害が起こったときにどうやって涼をとるか、どうしても扇風機やエアコンを使用する必要があると思ってます。そのための電源対策についてご紹介したいと思います。

1.暑さ対策に必要な家電

(1)扇風機

 

自宅での熱中症対策のための家電、扇風機

 代表的ですね。我が家の扇風機は家電量販店で売っている一台数千円の一般的なものです。どのくらいの電力を消費するかというと以下の通りです。実測値です。

 もしSW「中」で一晩約10時間使うとしたら470Whの電力量が必要になります。電源としては800Whぐらいの容量のポータブル電源があれば大丈夫でしょう。

風量消費電力
微風20~30W
40W
47W
50W
我が家にある扇風機の消費電力

 余談ですが、我が家の扇風機は交流モーターを使った普通の扇風機で30年くらい前のものですが、直流モーターの扇風機だと消費電力はおよそ半分くらいになります。消費電力が少ない分長時間使用することができるのですが、ブラシといって使っていると摩耗する部品があって寿命が短いといわれています。そのためメンテナンスが必要となります。我が家でも一台購入したことがあるのですが、二年ぐらいで動かなくなりました。しかし技術進歩により耐久性の高いものも登場しているようです。具体的にはブラシレスの直流モーターの扇風機を選ぶことで耐久性の問題を大幅に軽減できるようです。ご参考まで。

(2)エアコン

熱中症対策のための家電、エアコン

 エアコンなんて停電のときに使えるの?と思われる方も多いと思います。しかし技術の進歩で省エネ化が進み今の我が家のエアコンだと2017年式ではありますが、以下の消費電力でした。メーカカタログ値ではなく実測値です。

測定日2024年8月上旬
天気晴れ 予報最高気温35℃
部屋約8畳 フローリング
二重サッシ
断熱性を高めるため雨戸を閉めた状態
エアコン機種パナソニックエオリア
CS-SX287CS2017年製
適用畳数  10畳
使用電圧  100V
消費電力  155~840W
設定モード おまかせ快適モード
設定温度27℃
計測時間41時間
備考在室人数 1人
使用電気機器
・LED照明34W使用
・ノートパソコン
・23インチのモニタ2台
我が家のエアコンの消費電力測定条件

上記条件で41時間運転した結果、平均消費電力は以下の通りでした。

平均消費電力78W
室温26~27℃
湿度35~42%

 8畳の部屋で測定したのですが、平均消費電力は80W弱でした。この消費電力は扇風機2台分よりも少ない結果でした。エアコンを使うと湿度も下がるので扇風機よりも快適です。

 消費電力も少ないので一晩約10時間使うとしてもおよそ800Whですので充電容量1000Wh級のポータブル電源があればなんとか一晩過ごせそうです。人が多いともっと必要でしょうが、今回の測定では上記の通りです。

 夏場の災害時、どこか一つの部屋だけでもエアコンで快適な空間にすることができれば、そこで全員で寝たり高齢者や障がい者に休んでもらったりオアシスのように感じられる部屋があるといいですよね。 

 注意点として、ポータブル電源の電圧出力が100Vですので動かせるエアコンは電圧100Vのものになります。リビングのような大きな部屋用だと200Vのエアコンが主流だと思いますが使えません。

下の参考記事は、ポータブル電源で何時間くらい
運転できるか試した結果をアップしたものです。
よかったら見てください。

(3)ポータブル電源

ポータブル電源イメージ

 最近「ポタ電」とも言われています。ここで取り上げたいのは、上述の必要な電力量を賄える容量を持った大容量ポータブル電源です。余裕をみて1000Wh以上の容量のものをおすすめします。また急速充電できるものがおすすめです。

 より容量が多い方が良いのですが、その分重くなります。また充電時間も長くなります。あるメーカーのポータブル電源の重量は以下の通りです。急速充電できないと後述するエンジン発電機を長時間運転することになります。下表は我が家で使っているポータブル電源のメーカー(エコフロー社)のカタログ値です。ご参考まで。

充電容量重量定格出力80%充電時間
1024Wh約12kg1500W50分
2048Wh約23kg2400W84分
3600Wh約45kg3000W120分
引用:エコフローHP

 重いと持ち運ぶのに腰を痛めないように注意が必要です。エアコンのコンセント位置が高いところにあるとその付近まで持ち上げることにもなるので自分にあったポータブル電源を選んだ方がよいでしょう。我が家では1024Wのものを1台所有していたのですが、一つでは心もとないと思い追加購入し2台で回そうと思っています。

 注意点として、ほとんどのポータブル電源の出力電圧は100Vになりますので使用電圧100Vのエアコンを利用することになります。リビングのように広い部屋用のエアコンになると使用電圧が200Vになりますのでほとんどのポータブル電源は使うことができません。

2.ポータブル電源を使う上での課題「充電」

 ポータブル電源があれば、エアコンを使うことができそうだということがわかりました。ただ問題なのはそのポータブル電源、震災前に十分充電しておいてもたった一晩で電気が空になるかもしれないということです。

 ここでは、そのポータブル電源にどうやって充電していけばよいか筆者なりの考えをいろいろご紹介したいと思います。

(1)避難所で充電する?

数多くの携帯の充電、混雑イメージ

 避難所に行ったら充電させてもらえるんじゃないかと思われる方もいらっしゃるかと思いますが、これはかなり難しいと思います。横浜市の場合、各地域防災拠点に備蓄される発電機はガソリン式発電機が3台、ガス式発電機が3台の合計6台だそうです。2019年に発生した北海道胆振東部地震の際、札幌市役所の充電コーナーでは携帯を充電するのに長蛇の列ができたようです。こんなところに大容量のポータブル電源を持ち込んで充電することは難しいでしょう。

(2)ポータブル太陽光パネルで充電する

ポータブル太陽光パネルとポータブル電源

 普段は折りたたんで収納しておき使うときに広げてポータブル電源に繋げて充電します。筆者は2020年に最大発電出力110Wの太陽光パネルを購入しましたが、最近は400Wの出力のものも見かけるようになりました。

 発電出力が大きくなる分充電時間は短くなりますが、パネルの面積が大きくなり取り扱いがたいへんになります。角度調節等の設置が面倒だったり、風で倒れたりすることがあります。充電できたかなと思って現場にいってみると太陽光パネルがうつ伏せになってがっかりしたことがありました。

 前述の充電容量1000Wh級のポータブル電源を充電する場合、400W級の太陽光パネルだと計算上ではおよそ2時間半で満充電になりますが、太陽光パネルを太陽光に対してずっと垂直に向けておくこと、発電中ずっと快晴であることが必要で実際には満充電するのに相当の時間がかかることを覚悟しておいたほうがよいです。

 また昼間充電することになるので昼間の暑い時間帯にポータブル電源を使うことはできません。昼間もポータブル電源を利用したい場合は、複数のポータブル電源を充電して使いまわしていくとよいでしょう。

 ポータブル太陽光パネルのメリット、デメリットを以下にまとめました。

メリット・太陽光という再生可能エネルギーを利用している
・普段使わないときにコンパクトに収納できる
・後段のエンジン発電機に比べて安価、無音で充電できる
デメリット・天候が悪いとあまり充電できない
・充電するのに時間がかかる
・暑い昼間に充電するのでその間電気を利用できない
太陽光パネルのメリットとデメリット

(3)エンジン式発電機で充電する

エンジン発電機によるポータブル電源の充電

 エンジン式発電機だと燃料さえあれば発電してくれます。筆者が所有している発電機は出力1800Wのガソリン式のものです。ポータブル電源は容量が1024Wh、充電入力を1000Wに設定していますので、およそ1時間あれば容量の約90%まで急速充電ができます(バッテリーの劣化を防ぐため満充電に近づくと保護機能が働いてゆっくり充電する仕組みになっていますので100%にするためには2時間くらいかかります)。雨の日でも暗くなってもガソリンさえあれば発電してくれるのはとても心強いです。

 このエンジン式発電機の能力はすごいのですが、以下の通りメリットとデメリットがありますので対策として考える際のご参考にしてください。

メリット・いつでも発電できる
・燃料さえあれば無尽蔵に発電できる
・発電出力が大きいので短時間で充電できる
デメリット・運転中の音がうるさい
・発電機のメンテナンスが必要
・排気ガスがでるので屋内では使えない
・発電機が重い
・燃料の取扱いに注意が必要
ガソリンエンジン式発電機のメリットとデメリット

 デメリットをみるとエンジン式発電機を選択するのはハードルがありそうですが、筆者が実際に使った上での感想としては、おすすめの充電方法の一つです。以下いくつかデメリットの補足や対策についてご紹介します。

①騒音

 皆さんおそらく一番懸念されていると思います。近隣住民の方とのトラブルは避けたいものです。

 筆者が所有している発電機は、騒音レベル(LW)が定格不可(1.8kVA)時90dB(カラオケ音くらい)、1/4負荷(450VA)時81dB(走行中の電車内くらい)です。ホンダでは専用の防音ボックスが販売されており10dBくらい騒音を低減できるようです。ただし2024年8月現在、在庫限りで販売終了とHPにありました。ご検討される方はご注意ください。

 またサードパーティでも防音ボックスを販売しています。それなりに費用かかりますが、対策がないわけではないです。

 筆者はDIYが好きで防音ボックスを自作してみましたが、かなり騒音を低減できスマホのアプリの騒音計で計測したところ隣家との境界で50dB(エアコンの室外機の音)くらいまで低減できています。

 いくら防音ボックスで騒音が低減できたとしてもゼロにはなりません。近隣住民の方に携帯の充電をしてあげるとか災害時の助け合いの気持ちがあればトラブル回避の一助になると思います。

②メンテナンス

 購入後エンジンオイルを入れる必要があります。また車と同じように定期的にオイル交換も必要です。ガソリンスタンドでもやってくれます。

 またときどきエンジンをかける必要があります。災害用だからといってずっと放置しておくと、いざというときに使えないかもしれません。筆者が所有するエンジン式発電機の取説には、月に一度10分くらい運転するようにとあります。筆者はそこまで豆にはできていませんが、3か月に1回くらいの頻度でエンジンをかけています。そのときにガソリンが空になるまでエンジンをかけておくことが長期保管にはよいそうです。

いつも少量のガソリンを入れて10~30分くらい運転しながらポータブル電源を充電しています。

③屋内では使えない

 一酸化炭素中毒が発生する可能性がありますので屋内で使うことはできません。いつでも発電できますが、どこでもではありません。

④発電機が重い

 筆者が使用している発電出力1800Wの発電機だと約21kg、20リットルの灯油缶を運ぶようなものです。発電出力900Wの小さいものでも20kg弱です。発電出力2400Wのものになると約56kgです。発電出力と重さのバランスを考えると1800Wぐらいのものがよろしいかと思っています。

 筆者は発電機を屋内に保管していますので毎回外に持ち出してます。取っ手がついているので片手で運べないことはないです。発電機によってはキャスターがついているものもあります。移動するときに便利ですが、段差や階段のあるところでは複数人で持ち上げる必要がありそうです。

⑤燃料の取扱い
ガソリン携行缶

燃料の保管はガソリン専用の携行缶になります。主なサイズは5リットル、10リットル、20リットルです。筆者は容量10リットルの携行缶を3缶持っています。これで最大30リットルのガソリンを備蓄しています。法律で40リットルを超えると条例により事前に消防機関に届け出が必要になりますのでご注意方。

 携行缶の大きさを10リットルにした理由は、ガソリン満タンにしても10kgちょっとの重さですので発電機や車に給油する際に持ち上げられると思ったからです。20リットルの携行缶になると重くて給油する際苦労すると思います。

 最も注意を要するのは引火です。揮発しやすくガスになって静電気による火花等で引火してしまいます。特に冬場は空気が乾燥していますし化繊の服をきていると静電気も溜まりやすいと思います。筆者は携行缶から車や発電機に給油する際、直前に必ず金属の水道の蛇口を触って身体にたまった静電気を放電するようにしてます。

 あとガソリンは劣化していきます。携行缶で保管したとしても期間としては3~6か月と言われています。ある程度保管期間が過ぎたら車に給油してガソリンスタンドで新しいガソリンに入れ替えましょう。筆者は、年2回くらい気合をいれた洗車をするときがあって、そのときに保管していたガソリンを車に移してます。ガソリンの缶詰も販売されています。この缶詰の場合だと3年保管できます。

(4)カセットボンベ式発電機で充電する

カセットガス式エンジン発電機イメージ

 ガソリンの扱いに抵抗感がある方は、カセットコンロで使うカセットボンベを燃料にした発電機の利用が考えられます。市販されている発電機は、カセットガス2本で約1時間動かすことができます。ガスは腐ることががありません。カセットボンベの耐用年数が7年です。ガソリンのように腐りません。

 2本で1時間の発電ですので、何時間使いたいのかがわかれば必要本数準備しておきましょう。

(注意点)
カセットボンベ式発電機は発電出力が900Wのものが多いです。
一方、最近のポータブル電源は急速充電できるように
充電入力が1000Wを超えるものが主流になりつつあります。
それでもし充電入力が900Wを超えるポータブル電源を充電しようとすると
安全装置が働いて発電機が停止するそうです。
購入するときは充電入力が900W以下のポータブル電源にして下さい。
最近充電入力を200~1200Wまで任意に設定できる機種も販売されています。
ご参考まで。

(5)プロパンガスエンジン式発電機で充電する

LPガスエンジン式発電機

 ホンダが防災向けに低圧LPガス発電機を2機種販売しています。50kgのボンベだと1500Wの定格負荷で運転しても74時間も発電できるようです。LPガスだとガソリンほど取扱いや保管に気をつかうことはないかもしれませんが、やはり可燃性ガスを使う以上注意は必要です。筆者の自宅がプロパンを利用していたら、まよわずこの方法を選択したと思います。74時間も発電できるって頼もしいですね。過去の災害をみると都市ガスに比べてプロパンガスの復旧は早く災害に強いインフラとも言われています。

 LPガスはガソリンのように劣化することがないのもいいですね。ただ導入時ガスの配管工事を業者さんにお願いする必要があります。あと発電機本体の価格はガソリン式に比べて倍近く高いようです。

メリット・ガソリンよりメンテが楽
・50kgのボンベで74間運転できる
デメリット・発電機本体の価格がガソリン式より高い
・導入時配管工事が必要
・その他はガソリン式と同様
LPガスエンジン式発電機のメリットとデメリット

(6)車から充電する

 車のエンジンをかけてシガーソケットからポータブル電源を充電することができます。ただ通常の車だとシガーソケットの充電出力は100~150Wなので1000Wh級のポータブル電源を満充電するには10時間ぐらいかかるでしょう。

車からポータブル電源を充電する

 しかし災害に役に立つといわれている車、例えば三菱アウトランダーPHEVでは、一般家庭での一日当たりの使用電力量を約10kWh/日として算出した場合、ガソリン満タンで最大12日間分の電気を供給してくれるそうです(https://www.east-mitsubishi-motor-sales.com/lp/bousai_phev/)。

 ガソリンを常時半分以上入れておくようにしたら最低でも6日分の電力を供給できることはすごいです。この車さえあれば、電気の心配はいらないですね。筆者としては経済的に余裕があればこういった車を購入したいと思います。ただ現状は、新車で500万円くらいしますし、車なので何年かしたら買い替えにまた費用がかかると思うと高嶺の花です。

メリット・満タンで最大12日間分電気を使える
・ガソリンもGSで給油しておくだけでよい
デメリット・車両価格が高い(500万円)
・維持費、買換え等の費用もかかる
・車での外出時に災害があると自宅に戻れず使えないこともある
車から充電する場合のメリットとデメリット

(7)住宅用太陽光パネル

住宅用太陽光パネル
V2Hイラスト
住宅用太陽光パネルの損傷

 自宅の屋根に太陽光パネルを載せて昼間発電した電気をポータブル電源に充電する方法です。通常発電出力3kW以上の太陽光パネルが載っていると思いますので、晴れた時間が数時間もあればポータブル電源を満充電することができます。現在は家庭用蓄電池も一緒に導入されて夜に使うようにするものもあります。その他電気自動車と組み合わせて電気自動車を蓄電池代わりに使う方法も提案されています。こうなるとポータブル電源を使う必要もないくらいに快適な在宅避難生活を送れそうですね。

 ただここまでするためには相応の費用がかかります。住宅用太陽光パネルの設置だけでも昔は1kWあたり50万円ぐらいでしたが、経産省の「令和6年度以降の調達価格等に関する意見」によると30万円弱で推移しています。だんだん安くはなっていますが3kWのパネルだと100万円ぐらいになります。「太陽光パネルは劣化がないので置くだけで発電するし、売電すれば元をとれる」とよく言われていましたが、最近はいろいろな方から「元を取れるとは考えない方がよい」という投稿を目にします。太陽光パネル本体以外にパワーコンディショナーという付帯装置が寿命によって交換費用が発生します。また屋根自体の葺き替え工事の際太陽光パネルが載っているとその分工事がしにくくなり特別料金がかかってしまうこととなり費用対効果が薄れてしまうそうです。また台風で物が飛んできて太陽光パネルが損傷するリスクも覚悟しておく必要がありそうです。

メリット・短時間で充電できる
・蓄電池と組み合わせると快適な在宅避難を送れる
デメリット・天候に左右される
・導入費用が高い
・太陽光パネルに電柱や電線などの影がかかる場合は発電出力は低下する
・台風災害で太陽光パネルが飛来物で損傷し十分利用できなくなるリスクがある
住宅用太陽光パネルで充電する場合のメリットとデメリット

(8)その他

①ペダル式発電機
ペダル式発電

 自転車のペダルをこぐようにして発電用モーターを回して電気を起こすものです。アマゾンでも数万円で販売されています。いろいろなレビューを拝見すると30分ぐらいこいでも携帯が数分間使えるくらいの充電しかできないようです。扇風機やエアコンを動かすための発電機として用いることは難しいと思われます。

 

②風力発電
家庭用風力発電

 屋根やベランダに設置して風があれば風車が回転してその力で発電用モーターを回して電気を起こします。太陽光発電と違い夜でも風さえあれば発電します。家庭用の風力発電機はアマゾンでも売られています。簡単に設置できるものもあるようですが、少し本格的になると設置費用が数十万円になります。とある製品では風速6.5m/秒以上で発電可能、風速17m/秒以上になると停止させるそうです。風力発電は、稼働部分が多くメンテナンスも必要であることも考慮して導入是非を検討するとよいでしょう。

 

Ⅲ.まとめ

ポータブル電源でエアコンを利用するイメージ

 以上、「夏場の大規模災害に備えて、在宅避難のための電源対策」と称して、猛暑の中、長期停電した場合どのように涼をとることができるか、涼をとるための扇風機やエアコンを動かすための電源をどのように確保すればよいかいろいろな方法とそのメリットやデメリットを説明してきました。以下、筆者なりに所感をふまえてまとめてみました。

1.1000Wh級以上のポータブル電源があれば扇風機やエアコンを一晩動かすことは可能

2.扇風機2台分動かすのとエアコン1台動かすのに必要な電力はほぼ同じ、湿度を下げられるエアコンの方が快適

3.ポータブル電源への再充電には、ポータブル太陽光パネルやエンジン式発電機がおすすめ

4.メンテナンス他取扱いに注意が必要であるが、エンジン式発電機があればいつでも短時間で確実に充電可能

5.経済的に余裕がある場合、住宅用太陽光パネルや蓄電池、電気自動車や災害時に役立つといわれるPHEV車を導入すればより快適な在宅避難生活を送れる

 筆者の場合、経済的余裕はあまりないので現状、ポータブル太陽光パネルとガソリンエンジン式の発電機で夏場の長期停電を凌ぐつもりです。まずはエンジン式発電機でポータブル電源を充電してエアコンを使い、燃料が無くなったらポータブル太陽光パネルで充電して通信や照明等に最低限必要な電気を確保して在宅避難していこうと考えています。

 

 

 

Follow me!