ポータブル電源でエアコン使えるかやってみた!

ポータブル電源でエアコン利用

1.はじめに

このブログは、2024年9月4日に書き始めました。

 前月8月29日に台風10号が発生し鹿児島県に上陸する前から
自転車並みの速度でゆっくり移動し9月1日に東海道沖で
熱帯低気圧に変わるまで長期間かつ広範囲で被害をもたらしました。

 その間、長期間停電で困窮された方は多かったことでしょう。
特に猛暑の夏場に停電すると、暑くてたまらなかったことでしょう。
我が家では、もし長期間停電したときどうやって涼を確保するか、
対策としてポータブル電源でエアコンを動かそうと考えています。

 この記事では、実際にポータブル電源でエアコンを動かせるのか
所有しているポータブル電源でエアコンを動かせるか
実際に運転してみた結果をご紹介します。

このブログを読むと以下のことがわかります。

  ・ポータブル電源でエアコンを動かすことができること
  ・どのぐらい動かすことができるか
  ・どんなポータブル電源がよいか

このブログをみている子孫の皆さんへ 
(ご関係のない方はすっ飛ばしてください)

筆者が生きていた時代から地球温暖化が進んで夏場は気温35℃以上の猛暑の日が続くようになりました。
皆さんの時代には温暖化対策がうまくいっていることを祈っていますが、
もしあまりうまくいってなくてさらに猛暑が進んでいるようなら
災害も大規模になっていると思います。
このブログが皆さんの防災対策の参考になれば幸いです。

2.実験方法

以下の使用機器や測定条件で、エアコンを動かせるか試してみました。

(1)使用ポータブル電源等

①ポータブル電源

ポータブル電源

メーカー    エコフロー DELTA2
バッテリー容量 1024Wh
AC出力    最大1500W(サージ電力3000W)
AC入力    最大入力1200W
        (50分で80%、80分で100%充電)
重量      約12kg
寸法      40.0×21.1×28.1cm
購入日     2024年8月 

②エアコン

エアコン

メーカー   パナソニックエオリア
型番     CS-SX287CS2017年製
適用畳数   10畳
使用電圧   100V
消費電力   冷房690W(155~840W)
設定モード  おまかせ快適モード

注意:一般に販売されているポータブル電源のAC出力が電圧100Vなので100Vのエアコンしか使えません。リビングの200Vのエアコンは動かせません。

③セッティング

 用いたポータブル電源は約12kgあり、床に置いて電源コードをつなげたかったのですが、左の写真のようにエアコン用の専用コンセントの位置が高いので電源コードも短く、ポータブル電源をラックの上にのせで実験を行いました。

 より大容量のポータブル電源になるとさらに重くなりますのでポータブル電源を購入されるときは、持ち上げる必要があるのか重さは大丈夫なのかということも留意してください。

 エアコンの電源コードをポータブル電源に接続し、アース線は既存のコンセントのところに接続してます。

(2)測定条件

 測定開始時の室温は27℃、湿度は51%でした。エアコンの設定温度を27℃として運転を開始しました。


 経過時間とその時のバッテリー残量(%)を記録しました。運転開始時のポータブル電源のバッテリー残量は87%パーセントでした。

 その他の条件は下の表の通りです。

測定日2024年8月28日
測定時間15時40分~23時40分(約8時間)
測定地横浜市
当日の気象情報晴れ
気温(気象庁記録)
    15時 32.0℃
    18時 29.8℃
    21時 28.7℃
    24時 28.3℃
部屋約8畳 フローリング
二重サッシ
断熱性を高めるため雨戸を閉めた状態
在室人数1人
(経過時間5~7時の間は喫食のため0人)
使用電気機器・天井LED照明(約34W)
・ノートパソコン(約30W)
・23.8インチモニター2台(約50W)

ポータブル電源を

3.実験結果

  エアコンの運転時間とバッテリー残量の関係を下図に示します。

エアコン運転時間とバッテリー残量の関係

バッテリー残量87%から測定開始し8時間後に12%でした。
バッテリー残量を0%にするとバッテリーが劣化しやすくなるので8時間で終了しました。
8時間後の室温は26℃、湿度は45%くらいになり快適でした。
今回の条件だと8時間はエアコンを運転できることがわかりました。

 満充電の75%、充電容量が1024Whですから769Whを8時間で消費、
消費電力としては平均100W弱という結果でした。
 今回利用したポータブル電源のインジケーターに消費電力が表示されます。
今回エアコンの消費電力をみていたのですが、0から380Wで推移していました。
0Wのときは室内機のコンプレッサーや室外機のファンが停止しているときで
380Wのときは冷気が出ているときでした。

4.考察

(1)運転時間は大丈夫?一晩使える?

 今回の実験では、在室人数一人でしたが、停電になったら家族全員が部屋で過ごすことになるので充電容量1000Wh級のポータブル電源一つでは使用可能時間はより短くなるでしょう。

 充電が無くなったら我慢するか、都度発電機で充電するかになります。
急速充電できるポータブル電源だとしても充電に1時間くらいかかります。
夜発電機を1時間動かすのは騒音のこともあり気がひけます。

 解決策としては、より充電容量の大きなポータブル電源を使うか、もう1台準備しておくとよいでしょう。
 前者の場合、重量も重くなりますので今回のようにエアコンの差し込みプラグをつなぐのに持ち上げる必要がある場合は大変です。購入するときはそのことも考慮するとよいでしょう。

 一方後者の場合、充電がなくなったら取り換えるだけですぐ継続して部屋を涼しくできます。
ポータブル電源が一台しかないと充電している間はエアコンを使うことができません。
ポータブル電源が複数台あれば別の電化製品を別の場所で使うこともできます。
筆者としては、複数台準備しておくことをお勧めします。

(2)どんなポータブル電源がよい?

①AC出力

 エアコンは家庭用コンセントに直接電源コードの差込みプラグを挿して使うものです。
であるならば家庭用コンセントと同等の電力1500Wの電気が使えるポータブル電源を
利用するのがよいです。

 実験では、消費電力が0~380Wだったので400Wのものでも大丈夫ではと
思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、
エアコンのコンプレッサーや室外機のファンを回転させるのにモーターを使っていて、
それを回し始めるときに通常の消費電力よりも大きな電力を必要とします。
これを瞬時電力あるいはサージ電力といいます。
 エアコンによってどのくらいのサージ電力が発生するのかわかりませんので
家庭用のコンセントと同じ1500Wの電力を利用できるポータブル電源を
選択していればまずは問題ないと思います。

②バッテリー容量

 できるだけ大きいものがよいです。最低でも1000Whぐらいの容量のものがよいと思います。
利用するエアコンやその日の状況にもよりますが、
筆者の今まで何回かポータブル電源を使った経験では、5~8時間は使えそうです。
また2台あると夜中途中で充電が切れたとしてもすぐ交換できます。

③コンセント形状

 今回のエアコンの差込みプラグの形状は右の写真のように片方がL型のものです。最近のポータブル電源にはコンセント形状がこのL型に対応したものがありますのでそういったポータブル電源を選択するとよいでしょう。

 ものによっては、特にちょっと前のポータブル電源だと100Vのコンセントがあっても差込みプラグが入らないものがありますので注意してください。

④充電速度

 最近のポータブル電源は急速充電できる機種が増えてきています。
中にはまだ充電速度が遅いものがありますので注意してください。
主観ですが、AC入力が1000W以上(最低でも800W)あればよいと思います。

(3)バッテリー使い切った後の充電はどうしたらいい?

 停電時間が半日とかでしたら満充電のポータブル電源でしのげるかもしれませんが、
大規模災害の場合、いつ復旧するか目途がたたず長期間の停電となることが容易に想像されます。
復旧する目途がわかれば、例えば一晩だけとわかっているならエアコンを動かすために
ポータブル電源を利用することにためらうことはないでしょう。

 しかしいつ復旧するかわからなければ、スマホの充電や照明のように必要不可欠な機器を使うのに
ポータブル電源の電気を節約しながら使うことになります。
そんな不安を解消するためにも停電時でも確実に発電してポータブル電源を再充電できるような
電源対策が必要となります。

 電源対策については、ポータブル太陽光パネルやエンジン発電機などがあります。
今後首都直下地震や南海トラフ地震が起こることを思うと、長期停電にも備える必要があると思います。
長期停電になってから用意しておけばよかったと後悔する前にご検討されることをお勧めします。

電源対策にはこの記事をご参照ください。

5.まとめ

 今回、バッテリー容量1000W級のポータブル電源を用いて、100V用のエアコンがどのくらい使えるか実際に試した結果以下のことがわかりました。

(1)一晩は使えそうです。
  (補足)
   今回の使用環境では8時間は運転できました。
   気温が高い場合や在室人数が多くなると使用時間は短くなりますが
   ポータブル電源が2台あれば一晩は楽に使えるでしょう。

(2)エアコンを動かすのに適したポータブル電源は以下の通りです。
  ①AC出力は1500W以上(コンセントのAC出力1500W相当)
  ②バッテリー容量 1000Wh以上
   (補足) 大容量になると重くなるので注意
       1000W級を2台で使うことをお勧めします。
  ③エアコンの差込みプラグにあったコンセント形状をもったもの
  ④急速充電できるもの

以上ですが、
今後夏場の長期停電に備えてポータブル電源でエアコンの利用できないか考えておられる方の参考になれば幸いです。

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